動物医院事務所としての1棟め


フィンランドのログハウスを知る


その後、フィンランドのマシンカットログハウスで「キット」として販売されている物があるらしいと知り、ありったけのカタログを取り寄せてみました。

(フィンランドのマシンカットログハウスは、その頃まだやっと日本に紹介され始めたばかりの新参アイテムでした。)


キートス・ログハウスに出会う


山積みになったログハウスメーカーのカタログを検討していると、ログハウス部材をキットとして販売しているメーカーは数件しかなく、ログハウスを全て建築して販売する建築メーカーが主流でした。

その上、全て建築してもらうとかなりの金額がかかること、もちろん「一部か ある程度は自分で建築してみたい」という夢があったので、キットのみ購入して部分的に業者に手伝ってもらう方式しか考えていませんでした。

数十社そろったログハウスカタログの中で、「トヨサカログハウス事業部」という会社(株式会社キートスの前身)のカタログに興味を持ちました。

と言うのも、切手300円を同封して申し込まなければカタログを送ってこない。

その挙句に届いたカタログは、わら半紙のガリ版切りの大変粗末な一番みすぼらしいカタログでした。




 

他のメーカーのカタログは写真集とも雑誌とも見える立派な物が届いたし、もちろんそれらは無料でした。

豪華なカタログに「こんなにお金をかけているんだ」と感心しましたが、それに引き換え、一番みすぼらしいカタログのメーカーが不思議と気になり、電話をしてみました。

※ キートスによる注釈 ※

わら半紙ではなくて、当時はカタログに100%再生紙を使用していました。
100%再生紙はまだ高価でしたが、木を使うメーカーとして自然保護の観点から再生紙を使うのが望ましいと考えていました。

印刷もガリ版印刷ではなかったのですが、紙質の関係なのか確かに仕上がりが綺麗ではなく、ガリ版で刷ったように見えたのかもしれませんね(笑)

まぁ、今もお世辞にも豪華と言えるようなカタログではありませんが、キートスらしい図面集カタログになっています。


ログハウス部材キットを購入


それからは他のセルフビルダーさん達と同様に、「自分で出来ることは自分でやる」をコンセプトに、とんとん拍子に進んでいきました。

雑誌などを参考にとりあえず描いてみた図面をキートスに送って見積もってもらいました。

当面は私の仕事である動物医院の事務所として使い、将来は住宅にもできるように考えました。

そして1996年2月、キートスとログハウス部材キットの契約をしました。


キートスによるログ組み


できだけ自分でセルフビルドしようと考えていましたが、時間的なことを考えて、力仕事であるログ組みはキートスに依頼しました。


 


セルフビルドのスタート


キートスが屋根下地まで仕上げて引き上げた後、私のセルフピルドが始まりました。

毎日毎日、仕事が終わってから夜中の11時くらいまで作業をしました。
あの頃は若かったからね!!

屋根仕上材は「素人でも施工しやすいだろう」と考えてアスファルトシングルにしました。

そのシングルを上下逆さに張ったり、一部の室内床板を裏表間違えて張ったり・・・と多少の失敗はありましたが、とにかくログハウスを完成することができました。




一番苦労したのは、給排水設備工事かな〜!

業者さんがいい加減でなかなか仕事に来てくれず、痺れを切らして自分で工事をすることにしました。




いろいろ学習し、合併浄化槽の穴を掘って埋設し、しかるべき角度になるように給水、排水の管を埋めて、なんとか完成しました。

ここは市の水道を引かず、山の上の水源から落差を利用して自宅に引き込む方式の自然共存型の水道を利用しています。


完成後10年以上経ったログハウス




ログハウスが完成してから10年以上が経ちました。

事務所用に建てたログハウスでしたが、一時は子供たちに占拠されていたこともありました。

今は子供たちも全員巣立ち、夫婦二人で静かなログライフを楽しんでいます。

そして、事務所や書斎コーナーも復活しました。


 

元々は平屋ログハウスでしたが、完成後に両端部分にはロフトを作りました。

階段は自作です。


 

丸太から作る「ハンドカットログハウス」ではありませんが、「マシンカットのログハウスキット」をセルフビルドしたからこそ現場でのいろいろな変更が可能になったのだと思います。

ログハウスの完成当初から薪ストーブを設置しています。




毎冬、充分な活躍をしてくれます。

それにこのあたりでは、薪の手当てには事欠きませんからね。


うちの動物医院は「ペットのための病院」ではなく、患者の大半は「牛さん」 です。
牛の患者さんは来院してくれません。全て往診治療です。

患者さんは来てくれませんが、患者の親達(保護者達) は寄ってくれます。




当時はログハウスがまだ珍しかったのか評判にもなって、私の仕事にも良い影響を与えてくれたと感じています。

でも、珍しいログハウスは「ものすごく高いものだろう」と憶測されて、「村一番の金持ちだ」とか身みに覚えの無い噂も立ちました・・・(笑)




ログハウスでの生活は「冬暖かくて、夏涼しい」という住環境で、とても満足しています。

その後、このログハウスを訪れた患者さんの親たちや仲間たちのなかには、住宅として同じキートスのログハウスをセルフビルドした人達もいます。




この地区のログハウス普及やセルフビルド応援に、充分寄与したのではないでしょうか・・・

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