2.事前準備


1.役所申請


ログハウスを建てるという「力仕事」に楽しみは募るばかりですが、いやいや、その前にやるべきことが沢山あります。

そう、法律に則った、色んな手続きごとです。

ここでは、土地売買(測量、文筆手続き、不動産登記)以降の、お役所を通じて行う申請ごとについてご説明します。

※地域や土地・建物の条件によって変わると思いますので、ご注意ください。


<伐採届>

※建築予定地に木が生えていない方には全く関係のないお話です。

役所に置いてある「伐採届」には、「森林所有者などが森林(保安林を除く)の立木を伐採しようとするときは、あらかじめ林政課または各総合支所地域振興課へ『伐採及び伐採後の造林の届出』を提出しなければなりません。 詳しくは、林政課までお問い合わせください。」と書かれています。

自分の土地だからって、好き勝手に木を切ったらダメなんです。




私の建築予定地に定められている建ぺい率(※)は 20%。
森を買っても80%は住居を建てたらダメということです。

かと言って、「住居以外(ガレージ、小屋、ガーデン)ならいいんだろ」と木を切りまくったら、森林がどんどん消失してしまいます。

それゆえに、伐採届の提出を必須としているのかもしれませんね。

ちなみに記載すべき項目は・・・
・伐採の方法
・伐採面積
・伐採樹種
・伐採齢
・伐採の期間
・伐採後の造林の方法
・伐採後の造林の期間
・伐採後の造林樹種
・伐採後の造林の方法別 及び 樹種別の造林面積
・伐採後に植栽する樹種別の植栽本数
・伐採跡地の用途

うわぁ・・・。

(※)「建ぺい率とは?
建築基準法上、原則として指定建ぺい率を上回る建築面積の建物を建ててはならないことになっている。
例えば、100坪の土地で 建ぺい率が60%の地域の場合、最大60坪(100坪×60%)の建築面積の建物を建てることができる。


<まちづくり条例>

「●●市まちづくり条例に基づく建築行為の届出制度」

「本市の優れた自然環境や風景の中で、市民の求める安全で心豊かな暮らしと活動の場を守り育てていくためには、秩序ある土地利用の形成を推進していく必要があります。
このため、全ての建築行為を対象に届出を求め、建築基準を遵守するように必要な手続きを定めました。」

理念(?)に対する文句はないのですが、この手続きが非常にめんどくさい。

届出に必要な図面等
1.土地の登記事項証明書
2.公図
3.建築物の平面図、立面図、配置図
4.案内図
5.関係法令の許可を得ている場合は写し
6.委任状(代理人が手続きを行う場合) ・・・

HPを見ていても全然わからないので、2012年3月某日、有給休暇を取って市役所に乗り込んで来ました。
それぞれの課では丁寧に教えて頂けました。

※景観条例や伐採届に関する情報も含まれています。

【まちづくり課にて】
・「景観形成ゾーン」に該当する。
・計画から判断する限り、規模形態の基準はクリアしている。
・確認項目はそれぞれ以下の部署・課で確認して欲しい。
・「建築計画」の「接面道路について」「土砂災害防止法」からの3項目 →道路河川課
・同、「埋蔵文化財」→市の埋蔵文化財センター(市庁舎外)
・同、「伐採届」→林政課
・同、「県建築基準法施行条例によるがけ地について」→自己判断

【道路河川課にて】
・当該土地の接面道路は「公道/法定外道路」
・「土砂災害防止法」「急傾斜地崩壊危険区域」「県砂防指定区域」は全て対象外。

【林政課】
・「伐採届」は必要。結果は郵送する(1ヵ月後)。
・伐採樹種が分からない場合は空欄でもOK(景観条例等と同送しても良い)。

【下水課】
・県の指定業者でないと設置できない。
・合併浄化槽の申請は、業者が行うので個人申請は不要。
・書類に沿って申請すれば補助金が交付される。

「のんびりやるかー」と言いたいところでしたが、「行為(建築物の築造等)に着手する30日前までに行わなければならない」というルールになっています。

つまり、この届出を出して30日が経過しないと基礎工事に入れないということ。のんびりしてられません。

ただ、市役所に出向いたお陰で 「事前調査表」への記載内容はほぼメドが立ったので、残るは「土地に関する書類」と「建築物(ログハウス)に関する書類」が勝負どころでした。


<景観条例>

「**市景観条例に基づく建築物や工作物の届出制度」

「**市の美しく個性的な風景を今後も守り、**市らしい良好な風景づくりを進めていくためには、建築や開発等を行う際に一定のルールを設け、統一感があり、周辺の風景と調和したものにしていくことが必要です。

そのために、市域を大きく2つの景観形成地域に分け、地域ごとに特性に応じた建築や開発等を行う際に守るべき事項(行為の届出と景観形成基準の遵守)を定めました。」

まちづくり条例と似て非なるものということが分かります。

市役所で確認したのですが、まちづくり条例とほぼ同じ書類を取り揃えれば良さそうです。

「それなら2条例を1つにまとめろよ」と言いたいところですが、お役所に楯突くのは時間の無駄というものです。

【まちづくり課にて】

・建設予定地は「山岳高原景観形成地域」に該当する。

・建物の外観の「色彩(彩度)」等に制限がある
(外壁や屋根は、低彩度で落ち着いた色彩等)





<建築確認申請>

「建築基準法に基づく手続きについて」

「建築物等(工作物も一部含む)の建築・修繕等をする際には、建築基準法第6条規定の「建築確認申請書」、または同15条第1項規定の「建築工事届」を提出する必要があります。」

「建築確認申請書添付書類」
@チェックリスト
A委任状
B設計者及び工事監理者の建築士免許証の写し
C関係法令等の許可書類
D工場調書
E認定書の写し
F案内図
G配置図
H給水、生活排水(雑排、汚水)経路図
I平面図
J立面図
K構造図
L建築工事届
M建築計画概要書
N**市まちづくり条例及び景観条例に基づく適合通知書

※提出先は県なのですが、市役所ではまちづくり課が窓口になっているとのこと。

通常は建築士さんに丸ごと依頼するものらしいですが、費用が数十万円かかるそうなので、友人夫婦(夫婦揃って建築関係に従事)の協力(おんぶに抱っこ)を仰ぎながら、自分でトライしました!

ですが、やはり素人が立ち向かうには限界があったようで、最終的にはキートスさんにお願いしました。

本当に無念でした。。。(詳細は割愛)


2.助っ人


平日は東京で働いている自分にとって、ログハウスを建てるために費やせる時間は限られています。

「長期間に渡って頑張る」という選択肢もありますが、森の中で木材を保管しておくとカビる可能性もあります。

また、八ヶ岳南麓では11月に入るといつ雪が降ってもおかしくありません。
屋根を掛ける前に雪が降ると、面倒なコトになるのは容易に想像できます。

そこで、まず「11月上旬までに屋根をかけ、ドア・屋根を設置する」という目標を据え、9月中旬の計9日間(土曜から翌週の日曜)、有給休暇を取って建築に没頭することにし、その間に作業を手伝ってくれる親戚・友人を募りました。

<作業内容>

(1)荷受け作業
40フィートコンテナから25トンクレーンを使っての荷降ろし作業

(2)二次輸送〜シルログ施工
荷降ろしした木材を建築現場への移送し、基礎の上にシルログ(最下段のログ)を積む作業

(3)ログ積み以降
ログを積む作業。できれば妻壁組み、棟上げまで。
(どこまで出来るかは労力と天気しだい)

「交通費と宿泊代(テント泊の場合は、タダ)は自己負担だけど、食事とお酒は提供するよ」という条件でしたが、10人以上のメンバーが集まってくれました。
中には、僕と同じ期間、有給休暇を取得してくれた 強者の後輩も。

その後もメールやブログをフル活用して作業計画を公開していたので、観光やスキーを兼ねて本当に沢山の仲間が手伝いにきてくれました。


 

 

結果的に、大食い・呑兵衛が集まったお陰で飲食費が莫大となったため、「業者さんにお願いしたほうが安かった」 かもしれませんが(笑)、大勢の仲間に囲まれての建築作業、そして夜の宴会は、これ以上ないくらい素晴らしい想い出です。


 

なお、もし同じようにお仲間を募ってログハウス建築を考えている場合は、以下のような方が揃っていると安心ですよ。

・ 健康で、そこそこ以上の体力がある人
・ 何でも言い合える人(ちゃんと自分自身の意見を言ってくれる人)
・ 何でも笑い話に昇華できる人(ポジティブ思考な人)
・ 自分勝手に動かいない人(余計なことをしない人)


3.道具・建材




必要な道具や建材については表に書き出して、購入&借用予定などを書き込んで管理しました。

ログハウス本体

部材購入

ブルーシート 2間×3間(3.6x5.4)サイズ 10枚
外壁塗料 キシラデコール #102ピニー 16L缶x2
コンパネ 屋根下地として約42枚必要(900ox1800o)
釘、ビス類 土台敷き作業にてキートスに必要量を確認

道具購入

チェーンソー スチール社のMS170C-E+専用チャプス
インパクトドライバー マキタ 充電式インパクトドライバ TD135DSH
水平器 新規購入
カッター 市販品でOK
ワイヤーカッター 市販品でOK
ソーテーブル 当面は不要と判断
電工ドラム **さんに借りる
丸のこ マキタ電気マルノコ M562+傾斜定規アッセンブリとソーガイドも同時購入
かけや トンボ 八角カケヤ 120MM x2
のみ 祖父の道具を京都から送ってもらう
脚立 **さんから2台、**さんから1台お借りする。1台購入予定
電気ドリル インパクトドライバー装着用ドライバー/ドリルビット(18o)を購入予定
バール **さんに借りる(大型のものは**さんに借りる)
塗装用道具 刷毛、ローラー、空き缶、マスキングテープ、手袋、雑巾、新聞紙 等
タッカー **で購入
墨つぼ 祖父の道具が見つからなければ購入(必要に応じて)
手鋸 等 手鋸、差し金、スケール、金づちは祖父の道具を活用
草刈り機 当面、**さんからお借りする。
その他 ガムテープ、ビニールテープ、紐、軍手、雑巾類

荷受け

荷降ろし場所の確保 **の駐車場で確定。キートス連絡済み
大型クレーン **さんに手配を依頼済み。
ユニック **さんに手配を依頼済み。
進入路の整備 **さんより樹木伐採の了解を得る。




 


内装設備

設備購入

ユニットバス ハーフユニット前提で**さんに発注済み(TOTO浴槽+INAX扉)
石油給湯器 石油給湯機の候補を選定し、**さんへ連携済。
トイレ 格安品を捜索
キッチン ハンドメイドか既製品(格安品)か、最終判断要!
洗面台 格安品を捜索(シンクのみにするか最終判断要)
薪ストーブ ホンマ製「HTC-50TX」キートスに打診済み
薪ストーブ煙突 フラッシング等の屋根回り部材を発注済み。


4.知識・技術習得


<ログハウス建築>

『夢の丸太小屋に暮らす(LOG HOUSE MAGAZINE)』等の雑誌を読んでいると、よくハウスメーカーさんによる「セルフビルド体験講座」みたいなものがあります。

人それぞれなので、「行くだけムダ!」なんて言うつもりは毛頭ありません。

原木の丸太を使い、スクライブやノッチ加工をしながらログを組み上げるつもりなら、その技術習得のために講習を受けるのは間違いなく有意義だと思います。

でも、少なくともキートスさんのログ材を購入して建てるなら、お金を出して遠くまで習いに行く必要はないと思います。

少なくとも、僕自身は体験イベントに参加したことがありませんでしたし、そんなヤツでも一応立派にログハウスを建てられましたので、ご安心ください。




但し、丸ノコやインパクトドライバーの取り扱いは、有識者に習っておくのがオススメです。

僕の場合は、キートスさんに土台敷きを支援いただいた際、一通りの使い方を教わったお陰で、難なく使いこなせるようになりました。

あと、内装工事や家具を自分でやろうとされている場合、図書館や本屋さんで 本・雑誌を読み漁って、デザインや工法を 具体化しておくのがいいと思います。(写真をコピーして、必要な部材や工具を準備しておく)


<電気工事対策>

電気は直ぐ近くまで電線が通っているので、自家発電装置を配備する必要はありません。

建築業者さんの電気工事費の粗見積りは約70〜80万円 でした。
(配線・機器、換気扇工事等も含む)

高い・・・

そこで、第2種電気工事士の資格を取得し、電柱からの給電や主な配線以外はなるべく自分でやろうと決意しました。

筆記試験は6月。
合格発表のタイミングは建築開始時期、6月の試験に落ちると業者さんに委託せざるを得なくなります。

それはもう、必死になって通勤の往復で勉強しました。




一次試験(筆記)は何とかなるのですが、問題は二次試験(技能)。

工具や練習用の部品(電線や器具)も買わねばならないし、何より、座学では限界があります。

そこで専門学校の講習会を受け、練習を何度も繰り返して試験に挑み、何とか合格することが出来ました。






費やした多くの勉強時間や教材費・講習費を考えると、業者さんに委託してもコスト面では変わらなかったかもしれません。

でも自分の好きな場所にコンセントを取り付けたりできましたし、ログハウス完成後も知識や技術力は役立つはずです。

気力のある方は、ぜひチャレンジしてみて下さいね。


<その他>

キートスと契約を交わし、ログハウスを荷受けし、建築し、完成するまでに「持ってたら良かったなぁ」「勉強しておけばよかったかも 」と思った資格は以下の通りです。

◆ DIYアドバイザー資格
主に内装工事で役立ったと思います。

◆ 森林インストラクター
森のなかでの建築だったので、休憩時間などに森を散策する時に役立つ知識を習得できた気がします。

◆ 浄化槽管理士
これを持っていたところで、何らコストダウンにはならないと思うのですが、せっかくウチにあるので知識くらいは・・・

◆ 造園技能士
庭木の選定に役立ちそうな気がします。

◆ 樹木医
庭(森)に生えている樹木の保全を自分でやってみたいので。

他にも、今から受けようとしている試験もありまして、地味に頑張りたいと思ってます。

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キートス・ログハウス 〒950-2022 新潟市西区小針2-17-1 TEL 025-233-5005


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