1.はじめに


1.建築に至るまでの経緯


<森との出会い>

僕は生まれも育ちも関西ですが、父親の勤務先の保養所が蓼科にあったので、幼いころから八ヶ岳南麓に慣れ親しんでました。




それが縁で、「登山・スキーに明け暮れたい」と自然豊かな場所にある大学に進み、夏は北アルプス・中央アルプスで山岳パトロールとして、冬はスキー場に籠ってアルバイトに励んでました。

ですから、「八ヶ岳南麓に拠点を構えたい」「森林や景色を楽しんだり、登山やスキーを楽しみたい」と考えたことは、自分としては自然の成り行きでした。

いつものように小旅行で八ヶ岳南麓に訪れた時のこと。
たまたま宿泊したペンションのオーナーさんに「どこか、いい土地をご存知ないですか?」と呟いたところ、「この近くにすごく素敵な場所がありますよ」とのお言葉が。

翌朝、森を訪ねたところ、そこは今まで僕が見てきた中でも群を抜いて魅力的な場所でした。




幸いなことに、オーナーさんがその土地の所有者Fさんと非常に親しい間柄だったので、数週間後に面会できるよう手はずを整えて下さったのです。

その1ヶ月後、現地近くのレストランで Fさんと1時間以上に渡って話をさせて頂き、八ヶ岳への想いや夢を存分にお伝えしました。

そして、Fさんから魅力的なご提案をいくつか頂きました。

その中で、Fさんが“最良の策”としてご提案くださったのが、「(Fさんの古くからの親友である)Cさんが所有されている別荘地の一部を 譲って貰ってはどうか」というものでした。

そして更に3ヶ月後、都内某所でCさんご夫妻とお会いし、土地の一部を売っていただくことが出来たのです。


<決断した理由>

家族や友人の協力を仰ぎながらログハウスをセルフビルドする、そう決断した理由を自分なりに分析(?)してみました。

◆『大工のDNAが騒いだ』
(母方は代々、大工の家系でして・・・)



祖父が使っていた道具

◆『原点回帰』
(そもそも登山・スキーが好きなので・・・)

◆『新しい出会いや視野を広げるきっかけになる』
(実際に土地を探したり、信頼できるログ業者さん、工事業者さんを探す過程で沢山の出会いがありました)

◆『将来に来るであろう、首都圏地震に備えておきたい』
 (避難場所、備蓄拠点)

◆『老後に登山・スキーを満喫できないかもしれない』
 (元気なうちに満喫しよう、といったところです)

◆『子供が小さいうちに(都会にある“プチ自然”ではなく)大自然の中での暮らしを体感させたい 』


 

◆『死に直面した瞬間、「やっておけば良かった」と後悔したくない』
(人間、いつ死ぬか分からないし・・・)

◆『ご無沙汰になっている友人と集まって呑む、いい機会』
(タダ働きになる点はご容赦いただきたいですが・・・)

◆『老後まで待っていたら気力、体力、経済力、親の健康、家族の状況・理解・・・何かが欠ける可能性が高い』


2.コンセプト


<立地について>

当初の立地のコンセプト(希望)はこんな感じでした。

■ 最寄り駅から(頑張れば)歩ける場所。無理でも車で10分以内

■ 大きな道路から離れた、閑静な場所。

■ 森林の美しさ・静けさを大切にしたいので、夏は周囲の人家が見えないこと。

■ 広葉樹の森(白樺)が理想。 絶対に杉林は避けたい。

■ 八ヶ岳の眺望があるとより良い。

■ 最低でも100坪以上(上限は条件しだい)




ずいぶんと好き勝手を言ってました。
「森」なのに「八ヶ岳の眺望」、明らかに矛盾してますよね。

「最低でも100坪以上」とも言ってますが、そもそも「100坪の土地」を見たことない。

今になって考えると、100坪(330u)は都会なら半端なく大きい土地ですが、森のなかだとそれほど広くは感じません。

その後、あちこちの不動産屋に赴き、様々な出会いを経た結果、前述の森に出会ったのです。



<ログハウスについて>




ログハウスの構造・デザインに関するコンセプトは こんな感じでした。

◆ 2階建て(ロフト付き)。

◆ リビングとキッチンは同じ部屋。寝室はロフト部分にする。

◆ 浴室とトイレを分離させる。

◆ 基礎(床下)部分には そこそこの収納スペースを設ける。

◆ 内風呂の脱衣所から 「露天風呂」(!)へ出るドア・外通路を作る。


実際に建築したログハウスの述べ床面積は 約73.7u (22.3坪)。
当初は60uくらいあれば十分だと思ってましたから、一回り大きくなりました。
でも、ロフトの天井は斜めになっているので、体感面積(?)はもう少し狭いですね。

ログハウスの用途については、当初計画から現在に至るまで変化なし。
「ブレたらアカンやろ!」って?そりゃそうだ。  

◆ 主に登山、スキーの拠点として活用する。

◆ 敷地で遊べるツールも作りこむ(露天風呂、ツリーハウス、ピザ窯)。

◆ 庭には環境に適合しやすい地場・天然の草木を移植する
(畑で野菜を作ったり、外来種を移植しない)


<どうやって作る?>

建築方針はこちら。

◆ 週末や夏休みを利用してセルフビルドする。

◆ 基礎工事や屋根工事などプロの手が必要な箇所以外は、家族・友人に協力を仰ぎながら時間をかけて自力で行う。

今になって思うと、家族や友人の助け無しでは成し得なかったと思います。





3.建築地


<森のご紹介>

建設地は、標高約1200メートル。

数百メートル離れたところに国道が通ってますが、音は殆ど聞こえません。

冬枯れ状態でも街の眺望は一切見えず、川のせせらぎが聞こえるだけです。


 

南側は鬱蒼とした深い森です。

気易く人が立ち入れるような雰囲気はありません。

ごくたまぁ〜に、山林組合の方が保全作業や山菜取りに現れるくらいだそうです。




森の木はベイマツと白樺が中心。

野生動物も多数生息していまして、代表的な動物はシカ、ウサギ、タヌキ、リス等。

ログハウスの建築中には天然記念物のヤマネを2度ほど見かけました。
見かけたといいますか、建材の間に子供を産んでたのですが。。。




もちろん相当な種類の野鳥が住みついていると思われます。

メジャー系ではキジ、ホトトギス、オオルリ、イカル、メジロ、モズあたりは鉄板かな、と。

フクロウの生息地としても知られているそうです。

ちなみにCさん邸はキツツキに壁穴を空けられたそうです。




積雪量はそれほど多くないみたいですが、マイナス20度にもなる土地柄なので、ログハウスの基礎工事にあたっては、基礎高だけでなく、凍結深度に注意が必要になります。

森だからこそ起こりうる不便や苦労(湿度が高い、虫がいる、落葉がスゴい、夜が寂しい(笑) 等)もあるかと思いますが、それを凌ぐ恵まれた環境資源(?)を存分に楽しみたいと思います。


4.キートスとの出会い


<なぜログハウスなのか>

これまで見てきた山小屋のなかで、記憶に残っているのは殆どがログハウス。

登山の楽しい記憶と一緒に、脳ミソに刷り込まれていたのか、ごくごく自然に、特に悩むことなくログハウスを選択した、という感じです。

結果的にセルフビルドするならログハウスしか選択肢がないんですけどね。
(少なくとも、在来工法の住宅キットは見聞きしたことがありませんし)


<キートスとの出会い>

ログハウスに対して興味が湧き始めたと同時に、色んな書籍を買い漁りました。

ただ、メジャーな定期雑誌は1種類だけ。
「夢の丸太小屋に暮らす」(株式会社地球丸)。

そこに広告を出していた各社の広告を見て、思いつくまま資料請求をしていました。

最初のころはB社の某モデルが気に入り、代理店さんに建築途中の家を見学させてもらったくらいです。

ただ、思い描いていたより建物(=延べ床面積)が小さかったこと、

また、「セルフビルド向け」と推奨しているのに詳しい情報を入手できなかったため、「結局、自分で出来る作業が殆どないのでは」という疑問を持ったのです。

そんな折、当の「夢の丸太小屋に暮らす」にいつもモノクロでひっそりと(!)広告を出している業者がありました。

それがキートス社でした。

早速、資料請求をしようにも、「カタログ請求は 〜中略〜 切手300円分を同封して郵送でお申し込み下さい」とのコメントが。

不思議に思ってHPを見ると、「広告費を最小限に抑えることで高品質かつ低廉な商品を提供している」とのこと。

TVCMや電車のつり広告を見るたびに、住宅産業の収益構造に疑問を持っていた自分は妙な親近感を覚えたのでした。

早速、資料を取り寄せたところ、黄色い封筒が送られてきました。

開けてみると、中には地味ぃ〜なカタログが・・・
(キートスさん、ごめんなさい

でも、他社と比べて値段が手頃だったのと、「セルフビルド」の文字が散りばめられているのを見て、自分でも出来そうな気になっていったのです(笑)。


<キートス社を訪問>

そんな流れで、キートス社に気持ちが傾きつつあった頃、天の報いが・・・

なんとキートスのある新潟県に出張の予定が入ったのです。
(今思えば、これも何かの縁だったのかな、と)

出張先での仕事は月曜の午後。
ふむふむ・・・ (^_^)v

JR越後線の小針駅を降りると、そこは一面の銀世界。
事前に電話していたので、Nさんが駅まで出迎えに来てくれました。

事務所ではNさんとキット担当のKさんが交代で、僕の稚拙な質問に丁寧に答えてくれました。


 

更にモデルハウスを案内して下さったうえに、新潟駅まで送迎までして貰いました。


 


<購入モデル>

その後、4月中旬までの約2ヶ月間、Kさんを電話攻め・メール攻めにしたのですが、具体的な中身は外装工事以降の章でご説明します。

最終的に購入を決めたのは「GP-76」。

キートス社の中でも一番人気で、コストパフォーマンスが高いモデルだそうです。




選定理由は「基本コンセプト」の章でも述べたとおり、まさに理想的な大きさだったのが 一番の要因ですが、キャンペーン中で約1割ほど安くなっていたことも決め手の1つでした。

まぁ、安いと言っても 家1軒ですから、それなりの値段はしますけどね。


<セルフビルドの実態>

以下はキートス訪問時でのヒアリング結果です。

■ セルフビルド状況

・ セルフビルドを失敗した人は一人もいない。 ほとんどの人が自力で完成ている。

・ サポートもしっかり行うので、当初の不安はすぐに払拭されるはず。

・ 基礎工事を自力でやった例は少ない。(非常に珍しい)


■ ログ材

・ ラミネートログ材は見た目が綺麗で クラックや反り・ねじれが発生しにくい。

・ 価格は為替変動やフィンランドでの木材価格に依存するため、この先も同じと限らない。


■ 建設中の支援(サポートスタッフ派遣)

・ キートスに派遣を依頼する人もいるが、殆どの方が電話サポートのみ。

・ スタッフ派遣は本当に困ったときや途中確認に利用する程度が多い。


■ 建築時のアドバイス

・ 人数が多い場合、施主はマニュアルを熟読して監督(指示)に徹するのがベスト。

・ ログ積みの競走にならないように、また、間違った判断をさせないことが重要。


■ メンテナンス

・ ログの再塗装(外壁側)は建築地の場所にもよるが、3〜4年に一度程度。

・ セトリングが発生することを前提に設計されているので、恐れる必要は全然ない。

・ セトリングの影響で窓や扉が開けづらくなることがあるが、調整は難しくない。


短い時間でしたが、本当にたくさんのお話を聞かせて貰いました。

実際にお話をして本当に有意義だったのですが、「この先、これとは比較にならないほど大量の情報・ノウハウを頭に叩き込む必要があるんだろうなぁ。。。」と感じたのも事実です。

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キートス・ログハウス 〒950-2022 新潟市西区小針2-17-1 TEL 025-233-5005


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